2008年6月 3日

MU(漫画) 手塚 治虫

映画化されるというので読み直してみた。
玉木宏が結城美知夫、山田孝之が賀来神父だそうである。
ただし、同性愛のシーンは無いなど、
映画オリジナルなストーリーになるようである。
それは見る価値が無いなぁとは思う。

「MW」とは「ムー」と良い、これは細菌兵器である。
「MW」の影響で良心のなくなった人間になった結城。
そんな彼を救う為に、神父となった賀来。
彼を静めるため、その身全てを、賀来は捧げる。

性描写だけではなく、男同士のカラミが普通にあり、
さらには過酷な拷問と殺戮。
登場人物のほとんどが利己的で退廃的な作品である。
読後の何か嫌な感じも然ることながら、
その最後を知った上で読み直すと、
また違った一面を結城に見出せる。

手塚の作品で、ブラックジャックやアトムや火の鳥がオモテならば、
これはまさにウラ。極悪非道な性格の主人公・結城。
相手を拷問する事にすら快楽を覚えるその様子。
現代の「デスノート」のような
ピカレスクヒーローが受け入れられた時代だからこそ、
より際立つのではなかろうか。
実際、デスノートを見た際に、
ムーとかアドルフに告ぐとかが頭に浮かんで来たのは懐かしい話。

ガンダムの作品の中でもその崇高さで評価の高い0083だが、
そこにも描かれているように、
1つの信念を持って進む男の姿は、
かくも高尚で、そして美しいのだ。

結城は本当に悪いのだが、
なのにその魅力はやむ事は無い。
まさに悪の美学。

この作品が1976年9月10日号~1978年1月25日号に掲載、
つまり今から30年以上も前の作品なのだから驚きだ。

今、文庫版が出ています。
上下ともに630円。
その金額の価値はありますよ?


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